小宮山は所在無さ、やがて横になって衾を肩に掛けましたが、お雪を見れば小さやかにふっかりと臥して、女雛を綿に包んだようでありまする。もとより内気な女の、先方から声を懸けようとは致しませぬ。小宮山は一晩介抱を引受けたのでありまするから、まず医者の気になりますと物もいい好いのでありました。
「姉さん、さぞ心細いだろうね、お察し申す。」
「はい。」
「一体どんな心持なんだい。何でも悪い夢は、明かしてぱッぱと言うものだと諺にも云うのだから、心配事は人に話をする方が、気が霽れて、それが何より保養になるよ。」
 としみじみ労って問い慰める、真心は通ったと見えまして、少し枕を寄せるようにして、小宮山の方を向いて、お雪は溜息を吐きましたが、
「貴方は東京のお方でございますってね。」
「うむ、東京だ、これでも江戸ッ児だよ。」
「あの、そう伺いますばかりでも、私は故郷の人に逢いましたようで、お可懐しいのでござりますよ。」
http://cashingbook.info/84.html プロミス利用シーン

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