お艶さん、どうしましょう

2012 年 6 月 27 日

(お艶さん、どうしましょう。)
「雪がちらちら雨まじりで降る中を、破れた蛇目傘で、見すぼらしい半纏で、意気にやつれた画師さんの細君が、男を寝取った情婦とも言わず、お艶様――本妻が、その体では、情婦だって工面は悪うございます。目を煩らって、しばらく親許へ、納屋同然な二階借りで引き籠もって、内職に、娘子供に長唄なんか、さらって暮らしていなさるところへ、思い余って、細君が訪ねたのでございます。」
(お艶さん、私はそう存じます。私が、貴女ほどお美しければ、「こんな女房がついています。何の夫が、木曾街道の女なんぞに。」と姦通呼ばわりをするその婆に、そう言ってやるのが一番早分りがすると思います。)(ええ、何よりですともさ。それよりか、なおその上に、「お妾でさえこのくらいだ。」と言って私を見せてやります方が、上になお奥さんという、奥行があってようございます。――「奥さんのほかに、私ほどのいろがついています。田舎で意地ぎたなをするもんですか。」婆にそう言ってやりましょうよ。そのお嫁さんのためにも。)――
蒲田 歯科 一期一会。人とのつながりを大切に。 | 新着記事

Comments are closed.