何んと、まあ、可愛らしい

2012 年 5 月 29 日

「ははははは、これはどうも。」と按摩は手持不沙汰な風。
 女房更めて顔を覗いて、
「何んと、まあ、可愛らしい。」
「同じ事を、可哀想だ、と言ってくんねえ。……そうかと言って、こう張っちゃ、身も皮も石になって固りそうな、背が詰って胸は裂ける……揉んでもらわなくては遣切れない。遣れ、構わない。」
 と激しい声して、片膝を屹と立て、
「殺す気で蒐れ。こっちは覚悟だ、さあ。ときに女房さん、袖摺り合うのも他生の縁ッさ。旅空掛けてこうしたお世話を受けるのも前の世の何かだろう、何んだか、おなごりが惜いんです。掴殺されりゃそれきりだ、も一つ憚りだがついでおくれ、別れの杯になろうも知れん。」
 と雫を切って、ついと出すと、他愛なさもあんまりな、目の色の変りよう、眦も屹となったれば、女房は気を打たれ、黙然でただ目を※る。
「さあ按摩さん。」
「ええ、」
「女房さん酌いどくれよ!」
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